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小ネタ日記

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遙か×GH 遙か5

デフォルト名:天河 華織


 三度に渡り、異世界を渡り、世界を救う龍神の神子の補助者を務めた。
 重要ポジションとは正直思わなかったが、ただ重い荷を背負わされた親友や、同じ世界出身の子の助けになるならばと懸命にこなした。
 同時にそれらは、自身と向き合うきっかけにもなり、更に様々な人と知り合いになるきっかけにもなったのだ。




―――……子

 澄んだ鈴の音に華織は振り返る。しかし、そこには何もない。

「華織?」
「鈴の音……が」

 それだけで望美には通じた。
 悩むそぶりもなく、固い表情を浮かべるがすぐさま携帯電話を取り出し、ストラップを一つ外した。ストラップは彼女の手の中で首飾りへと姿を変える。
 SPRのメンバーの何人かは驚きの眼差しでそのストラップを見つめるが、望美は華織の首にストラップをかけた。

「白龍の逆鱗。華織が持っていて」
「でも、これは私には使えな」
「いいから! 私には鈴の音は、龍神の声は聞こえなかった。なら、華織はまた喚ばれるかもしれない。大丈夫、これがあれば雑魚は倒せるから!」
「ああ、白龍の神子の力がかなり移っているから……」

――の神…子よ、我……子を……

 身体に響くような声が染み入っていく。
 同時に懐かしい感覚が指先へと渡っていく。二度と味わいたくないと思っていた浮遊感が華織を襲う。
 華織の異変に、将臣や譲はいち早く気付き、そしてその異変が華織のみであることに顔を歪めて駆け寄る。
 そんな中で、望美のみが冷静に華織の手を握りしめていた。

「華織さん?!」
「おい、なんで華織だけが喚ばれてるんだ?!」
「華織、華織なら絶対大丈夫だから」
「望美、大丈夫」

『諦めなければ、運命は斬り開いていける。だから決して諦めない』

 望美と同時に同じ言葉を残すと、華織の姿はそこから消えた。





 感覚が戻り、地に足がついたと認識した華織はゆっくりと瞼を開けた。
 着物に身を包んだ人々。
 しかし、見覚えがあるようで全くない景色は、どこかで見たことがあるようなものだった。

 そして恒例ながら華織の服装は勝手に変化していて、降り立った時代に合わされたものだった。


「……磯の香りがする」

 同時に何かよくない気と、嘆き、悲しみ等が澱んでいるようだった。
 五行の流れも滞り、龍神の加護はなく、更に四神の加護も感じられない。

――神子

 一歩踏み出すと同時に、脳裏に言葉が響く。それは悲鳴のようで、嘆きであった。

 その悲鳴は、華織を喚んでいるように感じ、気づけば華織の足は勝手に走り出していた。




 足を進めれば進めるほど強くなる、水の気と陰の気。それと同時に華織の身体に感じる繋がりの温かさ。
 この世界に降り立った時から分かってはいた。けれど、分かりたくはなかったから目をそらしていたのだ。

――――ワガミコ……

「玄武に呪詛……?!」

 空に浮かぶのは、北天の守護を司る四神、玄武。その姿は禍々しく、邪気を孕み神と呼ぶに相応しい姿には見えなかった。

「攘夷を決行する我ら長州藩士の意志の堅さ、とくとその目で見るがいい」

 黒髪で長身の男が、不敵な笑みを浮かべて長い腕を持ち上げた。
 その先には、外国人二人と、奇妙な出で立ちの三人組。

「行け、玄武!」

 黒髪の男が玄武を使役しているようだった。
 彼の命令と同時に華織には玄武の命令に抗う意思と、呪詛に従おうとする狂気が伝わってくる。

「さあ、玄武よ! 招かれざる者共に決して消えぬ恐怖を与えてやれ!」

 ふざけるな! 叫ぼうと一歩踏み出すと同時に、指差されていた一人の少女が叫んだ。

「やめて! 玄武は人を攻撃したくないって言ってる。それに、この人たちだってさっき誤解と言っていたのにどうして聞き入れないの」

 心底不思議である、とでも言いたげな表情に彼女に庇われていた外国人が驚いたような顔をした。

「あなた……」
「どうした、玄武。早く敵を蹴散らせ!」
「Don't you dare!」

 少女に庇われていた外国人が前に出て腕をつきだすと、玄武の力が男との間でせめぎあった。
 そこまでが華織にとっての限界だった。

「四方にて、北天守護せし聖獣玄武よ。我が声を聞き、我が意思を聞け。我は四神の意をこの身に受けし御統なり」

 淀みなく言葉を紡ぐと、慣れ親しんだ感覚が華織の全身を満たし辺りには厳かな空気が漂う。けれど玄武へかけられた呪詛は強く、華織にはただ玄武の力を削ぐことしか敵わなかった。

「玄武よ我の声を聞け。我の意思を聞き届けよ」

 突然現れた人間が玄武へと語りかける光景は奇妙なものだった。
 力でせめぎあう二人の男は驚愕も露に華織を凝視するが、華織は常人離れした雰囲気を漂わせながらただ真っ直ぐに玄武を見つめていた。

「危ないっ!」

 低めの男性声が聞こえるが、華織は構わずに玄武に意識を集中した。

「ーー玄武、戻れ」

 力を奮うなとは言わず、華織は迷わずその言葉を選んだ。
 五行に龍の力を殆ど感じない状態では玄武を力付くで押さえることは不可能であり、また華織もしたくはない。呪詛を祓うことも難しい。だから、札に押し込める。

 目映い光が辺りに飛び散り、暫くの後、玄武の姿はそこから霧散した。
 玄武の札の持ち主である男はその瞳に狂気を宿して華織を見た。眼力の鋭さに誰もが後ずさるだろう所を華織は、体に力が入らない状態でいながら口許に笑みを浮かべ彼を見返した。

「四神の力をくだらない人の争いには遣わせない。……なんとしても止める」










「華織さんは?!」
「喚ばれていっちゃった」
「ど、どこに?」
「異世界。華織はまた、四神の神子として呼ばれた」
「四神の神子?」
「でも、なら何で望美や俺達は喚ばれないんだ?」
「白龍が換わっていたみたいだった。私達の知っている白龍ではない龍神の声だったから、きっと白龍の神子も黒龍の神子も、八葉も代替わりしたんだよ」
「ということは」
「俺達の知る白龍は滅してしまったんですね」


「滅して代替わり?」
「私もよく分からないけど、神様も何かのせいで消えてしまうの。でも偉い神様の空席は駄目だから、また新しい神様が生まれるの。全く同じ外見をしていたりするけど全く違う神様がその座に座るって華織と白龍が言っていたよ」
「華織は三代の龍神を見ているからな、俺らよりも色々知ってるみたいだったけどな」





***


遙か×GHの子が遙か5へと行く話。
ゆき達の世界とは時間軸がずれていると楽しい。(私が)

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