TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。
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――それが、私の夢だ
――俺が叶えたいのはそんな些細なことで途方もないことさ
どうして二人して同じことを言うのだろうか。
それを俺に告げて、俺に叶えろとでも言うのか。だが、それはない。あいつらならば、最後までお膳立ててから、俺に最後の判を押すように促すだけだ。
だが、それだけ途方もないことを夢見て奴らは見ることなくこの世を去った。ただ一人、意志を受け継いだ娘を残し。
ちょうど二人を足して二で割ったような娘。
俺も若い頃に会っている。彼女も何故か覚えているが、どうしてそこまで奴らの夢を叶えようと奔走するのかはわからない。
「なあラシュディ」
「なんですか、殿下」
「…何故そこまでこだわる」
個人一人では絶対成し遂げられない夢。夢と言うには余りにも簡単で、余りにも非現実的。
何時居ても答えはおなじであるし、彼女が浮かべる表情も同じ。
「……刷り込みのようなものです」
たったそれだけのために何故。
答えは誰も知りようがない。
(美しき空想)
意味不明!軍人主なのに何故かピオ視点。
[0回]
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それは決して手には入らない。
優しい声で名を呼ぶ母親。
それは無邪気に遊ぶ子供の名なのだろう、無邪気に答える甲高い声。
穏やかな夕暮れの見馴れた光景。
あたたかい、どこにでも見かけられるのどかな日常はしかし、ルニアにとっては経験したことのない非日常だった。
雲の隙間から差す茜色の光に染まる地面に親子の影法師が映る。
「ルニア」
突如誰かに肩を叩かれ、ルニアは驚いて振り向いた。
薄い金色の髪を茜色に染められ、優しげでけれどどこか寂しさをたたえた青い眸にルニアが映っていた。
ガイラルディアその人が立っていた。
女性恐怖症の彼も最近は肩に触れるくらいはできるようになった。今では、マルクトに戻り伯爵位を継ぎ、忙しい日々を送っていた。忙しさの原因は一部の権力を振り回す人間でもあったが。
「そろそろ夕飯の時間だぞ」
「……うん」
「…何かあったのか?」
ぼうっとしている感が否めないルニアの様子にガイは彼女の目の前で軽く手を振る。そんなことをされなくとも見えていると言いたげにルニアは彼の手を強く握った。
やはり自分からする場合と違い心の準備がいるのかガイは腕を捕まれた瞬間肩をピクリとふるわせた。
「なにもないわよ。……ねえ」
「ん?」
ガイを見て、目元を和ませるとルニアはグランコクマの広場へと視線を走らせた。
皇帝陛下のお膝元とあるだけあるのか、美しく人々は皆誇りに胸を張って路を歩く。
通り過ぎる人は皆、笑顔であたたかい。
遠目に見える広場の噴水は、水しぶきが光に当たってきらきらと光輝き、一部は茜色にも輝く。
居住区から聞こえるのは幸せそうな人々の声。
「街の住人全員が幸せとは言わないわ。でも」
先ほど見ていた、憧れの情景。
思い浮かべたのか彼女の色違いの双眸は細くなり微笑みを浮かべた。
「とても、あたたかい水の都」
どこか寂しさを浮かべていることに気づいたガイはけれど、なにも言わずに小さく顎を引き相づちを打つに留めた。
「行こう、今日は久しぶりに俺の手料理だ。心して味わうんだぞ?」
「ふふふ」
手をつないで帰ろう。
そうしたら、迷子にならない。寂しくもない。
(ワイングラスの中の月)
二度と取り戻せない暖かな家族とのやりとり。
でも今からでも作れる。
[0回]

おまえは、おれのようにならないでくれよ
力なく落ちた腕に、私は全身に力が入りどうしようもなく途方に暮れてしまった。
大切な人だった。それはもちろん私だけの大切な人というわけではない。母にとっても、あの方にかわる大切な人だった。
おそらく母の方が私よりも、絶望の色は強い。
何故。何故、この家ばかりが失わなければいけないのか。
『お前にはこの蒼色が似合うな』
暖かな笑顔とともに渡してくれたものは、とてもまぶしくて今でも大切に身につけている。
「あにうえぇっ!」
弟のようにすがりついて泣くこともできず、ただただ兄の手を握りしめて泣くしかできない。
母は、静かに涙をこぼしながら暖かさが失われていく兄の手を頬に当てていた。
亡骸すら戻らなかった父を思えば、まだましなのかもしれない。
――だけど……
「…兄上も、父上も何故……」
「……姉上……?」
弟が泣きはらした眸で見上げてくる。その顔は、兄や父が揶揄ったように、私に瓜二つだった。
違うところと言えば。
「……ライナス、兄上がみまかられた今、私ではなくお前が一族を背負って立たなくてはいけません」
「姉上?!」
「……母上、わかっていただけますよね」
静かに涙を流し続ける母は、ゆっくりと顎を引いた。
父が亡くなり、兄へと移るまで一族を率いたのは母だった。
弟は、大きな目を目一杯開くと、私の服の裾をつかんだ。
「なぜですか?! 僕の前には姉上がいらっしゃるのに!! それに……今このときにそんなお話をされないで!!」
「……私は、お前には劣ります。率いるのに何よりもふさわしいのはライナス、貴方です。…兄上も、お前が然るべき年齢になったときに伝えると言っていました」
フォルツォーネを纏め上げるのは、銀髪碧眼に優しい心根の持ち主。
兄も私も決して当てはまらない一生揺るがない決まり事。
「ライナス、お前は私や兄上にはない大切なものを持っています」
私は大切な役目から逃げ出しそうになった。だから大切な弟に辛い道を選んで欲しくはない。
大変な役目を押しつけてしまうけれど、貴方は変わらないままでいて欲しい。
私は、父と兄に託された願いを必ずかなえてみせる。最期まで叶えられなかったら貴方に託そう。
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突然ですが、ラシュディさんは三人兄弟に落ち着きました。(ようやくな)
前はもっと居たんですが、名前を考えきれないのと、いろいろほかにもあり人数が減り、兄、ラシュディ、弟。と落ち着きました。
まあ、本編の年には弟と母しかいないのですが。
一族というわりには数が少ない不思議な家系です。
あちこちに絡めたいネタがたくさんあるのですが、スキエッタメンテをもっと進めないと書きにくいのです。…がなかなか進まない。
父と兄のエピソードは連載のネタを練っているときからあります。が、結構変更あり。特に亡くなる年とか性格とか。
書きたい衝動が抑えられなくなったらこっちでいきます!!個人的に父と陛下の話が書きたいです!(オリキャラ大好き)
[0回]

誰が一番大切か。
「え、私が答えるんですか?」
「うんうん。だって、中佐の答え気になるしー?」
他の誰もが、気になるようでじっとラシュディを見ている。
ふむ。と顎に手を当てて考える。
ゆらゆらとゆれるありじごく人を可愛いと言うと、変な目で見られるのだが、まあ、可愛いものだと思う。
自分の大切なもの。
大切。といわれて思い浮かぶのは、自分の心に巣くうあの笑顔の数々。
「まあ、ラシュディの答えは聞かなくとも分かりますけどねー」
「おいおい、ジェイド。そんなことはないと思うぜ? 案外」
「そうそう。案外変わった答えが」
「そうですか? ラシュディ、答えは出ましたか? まあ、あなたのことですから考えなくとも答えは出ていると思いますが」
楽しそうなジェイドの声に思わず笑う。
たった数年だろうと、いろいろと過ごしてきたこの上司には己の一部の考えなど諸バレなのだ。
「そうですね。私にとって『誰が一番大切か』ですけど」
「だれぇ?」
「自分です」
きっぱりと応えたラシュディにただ一人ジェイドだけが笑っていた。
予想外の答えなのか、他の面々は目を丸くしている。
「おかしいですか?」
「いいえ。多分そう答えるだろうなぁと私は思っていましたよ?」
「大佐も『自分』でしょう?」
「さっすがラシュディですね♪」
***
別に自分大好き! というわけではないのですが。微妙な感じなのでここできります。
[0回]

彼女はどんな願いだって叶える。それは彼が『彼』のレプリカだからという理由だからではない。
ただの仕えられる者と仕える者の関係だからだ。
けれど、彼女はただ一つだけ叶えない、従わないものがある。
「導士イオン、どうかなさいましたか?」
夕焼け色の髪を払いながら彼女は首を傾げた。髪とは対象的にその隙間から覗く二つの瞳は凍りついた鎧の様に冷たかった。
「アディシェス、お願いがあるんです」
聞いてもらえますか? そう尋ねると彼女は小さく頷いた。その顔(かんばせ)にうっすらと微笑を刻むが瞳は冷たいまま。
「どうか、導士イオンではなくて……」
「それは無理なお願いです。イオン様」
「それは、僕が『彼』のレプリカだからですか?」
何度願っても彼女は『イオン』とは呼んでくれない。
笑ってくださいと願えば、彼女はどんな微笑みも浮かべてみせる。
けれど、どう願っても。どうあがいてもそれは叶えてくれない。
「それでは、失礼します」
「あ・・・」
ただ一人。導師守護役であり、『導師イオン』と親しくあり、計画のことを知っていて、左遷されなかった人物。
夕焼け色の暖かそうなのとは反対に、とても冷たいその心。
溶かすことは、『彼』にしかできない。
***
イオン→アディシェスっぽい?
どうでもいいですが、教団主の髪の色があいまいです。
銀なのか、橙色なのか!?
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