現地武田女武将・幸村落ちの予定
デフォルト名:立花眞里(たちばな まさと)
時代考証は中途半端です。
歴史的におかしなところは「だってBASARAだから」でカバー
共に春の歌を奏でよう
~序章~
甲斐の国。武田信玄が居館、躑躅ヶ崎館の傍に建つ、立花家から元気な産声が上がったのは夜も明けた頃であった。
立花家は、甲斐を治める武田家に古くから使える武将の家であり、今の当家には跡継ぎが生まれていなかった。女の子が二人と立て続けに誕生し、嫡男誕生に焦る当主と周囲は男子の誕生を心待ちにしていた。当主の弟夫婦には既に嫡男が生まれており、心配はなかったもののやはり当主の子の誕生は祝福を持って迎えられた。例え、望まれた男子でなくとも。
「産声が男らしい!きっと立派な武士になれるぞ!!」
襖越しにまだ見ぬ我が子の産声を聞いた立花家主、重勝は嫡男誕生だ、と喜び心躍らせた。
つい先日に同じく武田に仕える真田家で次男が生まれたばかりであり、己が子が無事に生まれた暁には。そんなことを想い描いていたからである。
「お屋形様、玉のような姫様であります!!奥方様も大事なく」
「女子だと?!あのように雄々しい産声を上げるのが女子なものか!」
知らせにきた侍女を押しのけ、妻と娘(息子だと思いたい)が眠る部屋へと荒々しく踏み入る。
「女子とはまことなのか!?」
「お静かになさいませ、お方様の前でございます」
「む。すまん」
乳母に素直に謝り、疲れた顔で笑顔を浮かべた妻の枕元にそっと腰を下ろすと産婆が清められた赤子をおずおずと差し出す。
「……よくやった。だが、女子なればお館様にお仕え申し上げれん」
「無事に生まれたやや子を祝福してはくださらないのですか?」
「そう言ってはおらん。だが、あの雄々しい産声はまこと男子だと思ったのだが……。うむ、あのような産声があげれる女子だ。立派な武士になれるに違いない!!」
突然の声に奥方を除くその場にいた者達はぎょっとして己の耳を疑った。
今、お屋形様はなんと仰った?
「のう、おまえもそうは思わんか?」
「そうですね。健やかにあればと思いますが」
「そうであろうそうであろう!!」
あまりにも落ち着き払う奥方にやはり先ほどのは幻聴だったに違いない。そう思いかけたとき、重勝はうれしそうに赤子を腕の中で揺すった。
「これで立花家も安泰よ。元服の折には武士として鍛えねばならんな!」
やはり幻聴ではなかった。さっと顔色をなくす侍女達は動きが止まっていた。
「旦那様。旦那様がお決めになったことはわたくしは口出しいたしませぬ」
いや止めてくださいお方様。その時侍女たちの心は一つだった。このままでは折角の姫が武士として育てられてしまう。
「おお、お前もそう言ってくれるか!」
「なれど、武士になるか、女子として生きるかはいつか本人に決めさせてやって下さいませ。それならば旦那様がなさることにわたくしは口出しいたしません」
いつの時代は母は強である。
「そうか!!ならば名は」
「ですがこの子は娘でございます。男の子の名を付けると仰りませぬな?」
「う、うむ。お館様より名を頂戴することとなっておる」
「なれば愛らしい娘が生まれたと誰かお館様にお伝えなさい」
「ううむ。その通りであるな。誰か馬を持て!!」
奥方の言葉に簡単に誘導され自ら躑躅ヶ崎館へと向かった重勝を見送り、乳母は笑顔を浮かべている奥方へと風を送りながら疑問を投げかけた。
「よろしうございますか」
「あのような旦那様を鎮めるにはあれが一番ですもの。勿論、姫としての教育もさせていただくつもりです。当たり前にございましょう」
やはりこの家で実権を真実握っているのはこの奥方であった。枕元で静かに眠る娘の柔らかな頬を指の背で撫でると、ゆるゆると瞼を震わせて微笑む。
「ですが、願わくば」
触られていることに気づかずに眠り続ける我が子がいとおしい。
「この子が、己の生き方を後悔などせぬよう……母としてできうる限りのことをしたいものです」
「……さあ、お方様もお休み下さいませ」
姫は成長し、眞里(まさと)という名前を頂き、武田に仕える女兵となった。
同じ折に、元服を迎えた真田家次男、真田源二郎幸村と共に切磋琢磨しあい他国に名も轟く武将へと成長するのは数年後の話である。
***
BASARA版オスカル様です(笑)
アンドレが幸村でフェルゼンが政宗?いやいやその辺のキャスティングは微妙ですし、そもそもベ○薔薇ではないので(笑)
何も意識せずに立花家の父と母を書いてみたのですが、父親である重勝の口調が幸村になってます(笑)
娘は父親に似た人と結婚するのか。
私生活に余裕がないので、武田の武将を調べている暇がないので、武田信玄好きの方には悪いのですが、まあBASARAだしということで許していただきたく。
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