君に逢えてよかった。
「なあ、ルーニャ」
椅子でうとうとと居眠りをしていたルニアは優しい声に意識を浮上させた。
俯いていた首を持ち上げ、ゆっくりと瞼を開く。
焦点の合わない視界の中で、声の主を捜す。まるで水の中を覗いているようで、なにが何なのかはっきり区別が付かないのに、彼だけははっきり認識できた。
直前まで見ていた薄い夢のせいだろうか。
ゆるゆると相好を崩すと、彼が笑う気配がした。
「こんなところで寝ると風邪をひくぞ?」
「ん……だいじょうぶだよ」
「ああもう。君もルークも寝るなら寝台で寝てくれ」
柔らかく髪を梳かれる感触が心地よくて、また視界を閉ざして彼の気配をゆったりと感じる。
生い立ち故に他人の気配には敏感なことを理解しているルニアだが、何故かガイの気配は心地よく、そばにあると安心した。
自信が一番心を砕くナタリアやルークの気配にも慣れてはいるが、これほどまで心穏やかになれる気配を彼女は知らない。
旅を経て、ガイと触れ合えるようになり、低い体温を持つゴツゴツとした手がやはりとても安心をもたらして。
「ガイ」
気づいたらはっきりと言葉にして紡いでいた。
「なんだい?」
優しく、心に響く声。
「ガイ」
「……ルーニャ」
ゆっくりと視界を開いて、両手を伸ばす。
その手を取り、優しく何かを包む込むように肩に逞しい手を回される。その腕は軽く震えているが、ルニアもガイも何も言わない。
「眠り姫は何をご所望で?」
耳元に聞こえる低く、優しい声。思わず微睡みに誘われる気がする。
「ガイ」
「ん?」
「……―――だいすきだよ」
息を呑む音が直接耳に届くが気にせずに広い肩にしがみついた。
その表紙にびくりと震える彼に苦笑を零して、そっと目を閉じた。
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
ガイに甘やかされたいです。ED後的なイメージで。
アシュヴィンを書いているときに初めての甘甘だー!とか思ったんですけどこの二人の方がバカップル?
ED後の話とかネタ的なことを色々考えていますけど、書きたいです。が、苦手な方とかいますよね。
ensembleの過去話みたいに軽い隠しにすればいいのかな?
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