立ち寄った村では豪華とも思える飾り付けをしていた。
「あっれ~? 今日って何かの日だったっけか?」
「えーと……?」
考え込むがすぐに村の様子を見渡したジーニアスが合点いったように、顔を輝かせた。
「あ、七夕だよ! 今日は七夕だ!」
「あ、そっか! だから笹が出てるんだね」
「よーし! 短冊書かせてもらおうぜ!」
そう言うと三人は一目散に笹が飾ってある場所へと走っていった。
笹の下で短冊を配っているらしい人に話し掛け、しばらく笑うとくるりと振り返って、こちらに手を振った。
「旅人も書いてもいいってさ!」
「姉さんも書こうよっ!」
「アトラスさんもクラトスさんも書きましょう!」
はしゃぐ三人に口を挟むことができずに三人は無言で短冊を受け取った。
「何書いたか後で見せ合いっこしようぜ!」
「うんっ」
「七夕なんて、何年ぶりかな?」
「私は村でよくやっていたから一年ぶりね」
そう笑うとリフィルは短冊に文字を書き始めた。
それを横目でみたロイド達は気になるようでちらちらと様子を伺っていた。
その様子に思わず笑いながら、アトラスも短冊に文字を滑らせた。
「アトラスは何を書いたんだ?」
書き終わり、短冊を笹につける頃に、アトラスの短冊を見ようとロイドが後ろから覗き込んでいた。だがアトラスは見えないように隠すと小さく笑った。
「ロイドは?」
待ってましたと言わんばかりにロイドはにかっと笑った。
「俺は『世界が平和になりますように』だよ」
彼らしい。そう思いアトラスは彼が持つ、コレットとジーニアスのも覗いた。
『皆が幸せになれますように』
これはコレット。
『背が伸びますように』
これはジーニアス。
「ロイドは剣のことを書くと思ったけど」
「へへ…。剣はさ、自分で努力するしかないもんな。で、アトラスのは?」
「『平和になりますように』かな」
素直に答えると、ロイドはふーん、と相槌を打って短冊を括り始めた。
ロイドの後、アトラスはそっと高い位置に短冊をぶら下げた。
それには端正な文字でこう書かれていた。
『彼女が安らかに眠れますよう』
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七夕ネタでした。ホントはコレット達との会話になるはずが……。
失敗失敗。
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