忍者ブログ

小ネタ日記

TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。 感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

遙か4ボツ

移り往く季節を君と


 目を閉じれば思い出す、愛おしい想い出達。
 決してあのころに帰れないと知りながらも何度も何度も想い描く。

 堅牢な造りの部屋に慣れたとはいえ、恵が少ないために常世には緑が少ない。彼の幼少にはもっと自然溢れる土地だったらしいが、今では緑は周辺に少なくなりつつある。中つ国の恵を手に入れた今も、枯れた大地から水が干上がるように瞬く間に恵は枯れていっていた。
 着々と愛着を持ちつつある国故、枯れ行く姿を見るのは忍びないが、朔夜にはどうしようもなくただ夫君を支えることしかできなかった。

「どうだ?」

 静かな問いかけにただ首を横に振った。それだけで理解したアシュヴィンは顔を暗くすると苛立ちを誤魔化すように髪をかき混ぜた。

「やはり……か。恵の枯渇には抗う手は存在しないということか」
「申し訳ないけれど、私も知らないわ。……このままではいつか常世だけでなくて、豊葦原の恵も枯渇するわ」

 そうなればこの国は、共倒れする。美しい景色も尊い生命も終わりを迎えるのだ。

 堅く握りしめられた朔夜の手をアシュヴィンがそっと包み込むと細りとした指先に口づけた。
 伏せられた琥珀の瞳が灯す強い光に朔夜は口を噤んだ。

「そうなる前に、打開策を探る。……力を貸せ」
「ええ」





お題で書いてましたがそれたので単品

拍手[0回]

PR

敦盛 虹の向こうに1

 あなたがいれば、わたしはなにもいらないのに



『のぞみちゃん、のぞみちゃんきいた?』
『なにを?』
『にじのねっこにはね、たからものがうまってるんだって!』
『ほんとう?』
『うん! だから、おっきくなったらゆずくんやおみくんたちとさがしにいこうね!』
『やくそくだよ!』




 クリスマスが近づいて浮足立っていた12月半ば。
 移動教室の為に廊下を歩いていた綾音は、視線の先に見知った姿を3つ見つけた。

 共に居た友達に声を掛けて先に行って貰うと駆け足で一番近くにいた同級生の背中に声を投げかけた。

「ゆず君。どうしたの?」
「あ、綾音か…なんか、先輩が」
「お姉ちゃんが?」

 言いよどんだ先を引き継いで、幼馴染有川譲の視線の先を見た。姉である春日望美が、不思議そうな顔をして渡り廊下の外で雨に濡れている子供に目線を合わせて話しかけていた。その後ろでは、有川将臣が退屈そうに欠伸を堪えている。

「子供?」
「そうなんだ。そこに急に現れて……」
「君、ひとり?」

 望美の問いかけに異国風な服をまとった少年はにこりと笑った。その笑み子供が浮かべるような類ではなく、どこか静かな場所で見たことのあるような笑みだった。
 どこだろうか。そんな風に逡巡する中、雨にかき消されない小さな声で少年が呟いた。

「貴女が……私の、神子」

 そのことばを認識した瞬間、目の前の景色から学校が消えた。
 代わりに自分たちを巻き込むように出現した大きな川に飲み込まれ、流れてしまう。

「っぷ、か、川!? な、なんで!?」

 自慢ではないが泳げない綾音は濁流に飲み込まれることは死活問題であった。慌てて何かに縋ろうともがくが、あたりには何も見当たらず、人影すら見当たらない。
 遠くから爆音にかき消されまいと叫ぶ幼馴染や姉の声が聞こえる。

 お互いを探し合う声に混じって呼ばれる自分の名前に、どこか安堵をおぼえながら綾音は意識を手放した。




 この時既に歯車は回りだしていた。
 周り出した歯車は誰にもためられず、ただただ回り続けるのみで。

 止まってほしいと望んだところで、それはただむなしくから回るだけであった。



**
短いですが、小休止。

拍手[0回]

遙か3 西の果ての神殿

虹の向こうに

デフォルト名:綾音(あやね)


 どこまで行ったら、この楔から抜け出せるのだろうか。

 けれど、どこまで行っても抗えないものがある。それは、既に温もりの通わない自分の身体だったり、白龍の神子を守る八葉に選ばれたことだったり。

 手で、触れることの叶わない少女が異界の、それも己が守る神子の妹であることも。


「……変えることの叶わぬものが運命というのだろうか」
「え?」
「あ、いや……」

 口をついてでた言葉をとっさに隠そうとするが既に相手の耳に入っていた。
 敦盛の隣で海を眺めていた綾音は、ぼんやりとその眸に彼を映すとこてんと首を傾げた。

「変えられないことが、運命?」
「……私が、怨霊である私が神子の八葉であるということは運命なのだと」

 ふむ。と敦盛の言葉を自分の中で昇華させようと考え始める彼女を見て敦盛はほほえむ。
 姉の神子に似ているようで似ていないのは綾音のこういったところだろうと思うのだ。

 やがて考えがまとまったのか綾音はゆるゆると首を振った。
 徐に敦盛の手を取ると両手で包み込んだ。

「私は違うと思うな」

 運命に人は抗えないかもしれない。

 けれど、抗ってみれば何か変わるかもしれない。

「変えられない運命もあるかもしれない。でも、抗ってみて変わる運命もあるかもしれない」

 自分は貴方の様に重い枷を背負っていないからこそ言えるのかもしれないけれど。

「人が変わろうとすれば変われるように、不変なものは何一つないと思う」
「……」

 黙り込んでしまった敦盛を不安そうに眺める綾音に気づいた敦盛は安心させるように微笑んだ。

「私も、そのように願っても許されるだろうか」
「っうん。誰も敦盛さんを怒っていないし縛ってないよ。敦盛さんを許すことができるのは敦盛さんだけだもん」
「……そうだろうか」
「そうだよ!」

 力強く頷く綾音につられ、敦盛は優しく微笑みを浮かべ、そっと目を閉じた。

「ありがとう、綾音殿」




(不思議な言葉でいくつかのお題2)

だいたいこの二人はまわりをきにしないでほのぼのしているイメージが強いです。

拍手[0回]

移り往く季節を君と

『理由にはならないけれど』
デフォルト名:朔夜



 居住を常世に移し、月が欠けてまた満ちた頃。
 当初馴染めなかった岩造りの部屋にもようやく馴染みを覚えはじめ、第二皇子黒雷の妃としての振る舞い方もわかってきた。

 食事もできうる限り二人揃って。彼が外へでるときは連れ立って歩き。
 時には二人揃って城を抜け出して臣下を困らせて。

 それほど長い時が経った訳ではないが、黒雷夫妻の仲は良好だと常世の誰もが知るところとなった。



 傍らに腰を下ろした黒麒麟に背中を預けて、草原に腰を下ろした朔夜は髪をすり抜けていく指の心地よさに目を閉じた。

 青臭い草と、生命の息吹を感じる大地が匂い立つのを肌で感じる。

 恵が少なく、枯れゆく土地が多い常世にもまだ自然を感じられる場所はまだまだあるのだ。
 そう言って笑い、よく息抜きと称して抜け出すアシュヴィンにもう何度つき合ったのだろう。

「ねぇ、アシュヴィン」
「何だ」
「楽しい?」

 目を閉じたまま後ろに疑問を投げつけると、動いていた指が止まった。しかしすぐに動き始め、悪戯に指を髪に絡ませて軽く引かれる。同時にくつくつと笑いをこらえる音がする。

「お前の髪は幾度絡めようとも俺の指をすり抜けていく。まるでお前のようだ」

 求めていた答えとは違うが、その声は楽しそうなので楽しいのかもしれない。

 彼は、朔夜の髪に触れるのが好きなのだと気づいたのはいつだったか。
 ただ静かに髪に指を通して、絡め。暫くすると満足したように離されるのだが。

「他人の髪をいじる機会などなかったからな。だが、存外楽しいものだ」
「そうね。……とても」

 夕日に揺れる葦の様に金色に光る御髪を梳ることが好きだった。他愛ない話をして、出来上がった出来栄えを喜ぶ顔を見るのが好きだった。

 己の髪よりも黒く艶がある彼女の髪を、下ろす役を誇りに思っていたのだ。

 今でも、瞳を閉じれば思い出す。幸福に満ちていた日々。

 頬に触れる冷たいものに驚いて目を開くと、黒麒麟が慰めるように朔夜に顔を寄せていた。
 優しく光る金の瞳が、何かを語りかけているようで。
 風になびく鬣にそっと指を添えた。

「ありがとう。……優しい仔ね」
「何だ、俺の役目は取られてしまったな。朔夜、お前の髪は俺が結う。だから、俺の髪はお前が結え」

 言われた意味がよく分からずに、朔夜は目を瞬いた。
 するりと背後から頬を撫でられ、黒麒麟が離れていくことを残念に思う。そっと温もりが添えられて頬を寄せてそっと目を閉じる。

「私でいいの?」
「お前がいい」


 ふわりと肩を抱かれ、隣に移動していたアシュヴィンの肩に頭をもたれさせる。


 どうして彼は、こんなに優しくしてくれるのだろうか。
 疑問が胸をよぎるも、今はまだ触れてはいけない。そんな気がしてならない。

 だから朔夜は言葉にはせず、穏やかな時間に身を任せた。


**


私にしては糖度が高めな話です。

拍手[1回]

遙か3白龍? 東の大森林

デフォルト名:?


 研ぎ澄まされた澄んだ瞳の奥は全く見えなくて、けれど総てを見透かされているようで胸の奥が燻った。

 鋭い刃を喉元に突きつけられている感覚に、喉が、緊張したように唾を飲み込んだ。

 能面のように何も浮かんでいなかった、その白く、美しく、鋭い顔が、にやりと笑うと同時に視線が外され、無意識に息をつく。


「主(ぬし)の神子は肝が据わっておるの」
「私の神子はとても美しくて、強いよ?」
「そのようなことを言っているわけではないないのがな。今の主はふぬけておるの」
「ごめんなさい……」

 しょぼんと肩を落とす白龍は悲しげに目を閉じた。何とか大きくなった体ででも、全身で感情を表すところは小さいからだの時と全く変わらない。
 白龍を見上げている、小さな身体の主は呆れたように腰に手をやると深く息を吐いた。

「主も変わったの」
「そうかな」
「見目は遙か昔から変わっておらぬがな。だが、性(さが)は年を経るごとに和らいでおる。……神とて、時の流れには抗えぬ。か」

 どこか寂しげに笑った、その子は何故か、白龍の姿と被る。

「貴女も、変わらず今も美しいよ」
「……減らず口も変わらぬ様だの」

 今更ながら、この子は誰なのだろうか。
 小さい体の時の白龍と同じぐらいの背丈。漆黒の髪は引きずりそうな程長いが、真っ直ぐと同じ方向を向いている。小さな顔は作りもののように綺麗で、瞳ははめ込まれた琥珀のように透き通る色をしている。
 身に纏うものは、やはり白龍の用に中国の雰囲気漂うものだ。

 声の高さから考えるに女の子だろう。

「妾(わらわ)が気になるかえ?」
「……はい」
「素直なことはよきことよ。……だが、妾には主に名乗る名がない」
「え?」
「神子。名は力を持つ。彼女は、名を呼ばれない」

 言っている意味がよくわからない。考えていることがわかったのか彼女は、楽しそうに笑った。

「何、白き神子には好きに妾を呼ぶことを許す。好きに呼べばよい」
「え?」
「ずるい。神子だけずるい」

 駄々をこねるように拗ねた白龍に(白龍もすねることがあるのか)彼女は呆れたような視線を送る。

「主は妾を好きに呼ぶではないか。今更何をいうておる」

 言われて気がついたように白龍は、笑顔になって彼女を見つめる。いつも見せる優しいものとは違う、恋しいものを見るような目で。

「うん」


(不思議な言葉でいくつかのお題2)

 名前を付けるのが面倒で、設定の裏取りをするのも面倒でかなり乱暴です。
白龍×とかはあまりないですよねー。でも神様同士ならいいかなぁと思ってしまいました。
でも楽しかったです。

本当は昔思いついた、白龍に一目惚れした精霊の話にしようかと思いました。

拍手[0回]

ブログ内検索

注意書き

【TOS・TOA・彩雲国物語・遙か・十二国記など】の名前変換小説の小ネタを載せております。
各小話のツッコミ大歓迎です!
気軽にコメントしてください。

カテゴリー

最新記事

設定

各タイトルの説明

【schiettamente】又は【軍人主】
 └TOAマルクト軍人主人公
 デフォルト名:ラシュディ・フォルツォーネ

【教団主】
 └TOAローレライ教団主人公
 デフォルト名:アディシェス・アスタロト

【アゲハ蝶】
 └TOA雪国幼馴染主人公
 デフォルト名:エミリア・ティルノーム

【ensemble】又は【旅主】
 └TOS旅仲間主人公
 デフォルト名:アトラス・ファンターシュ

【一万企画】又は【企画主】
 └TOSロイド姉主人公
 デフォルト名:セフィア・アービング

【傍系主】
 └TOA傍系王室主人公
 デフォルト名:ルニア・ディ・ジュライル

【十二国記】
 └雁州国王師右将軍
 デフォルト名:栴香寧

【遙かなる時空の中で3】
 └望美と幼馴染。not神子
 デフォルト名:天河華織

【明烏】
 └遙かなる時空の中で3・景時夢
 デフォルト名:篠崎曙

【彩雲国物語】
 └トリップ主
 デフォルト名:黄(瑠川)有紀

【コーセルテルの竜術士】
 └術資格を持つ元・旅人
 デフォルト名:セフィリア・エルバート
 愛称:セフィ

【まるマ・グウェン】
 └魔族
 デフォルト名:セレスティア・テリアーヌス
 愛称:セレス

【まるマ・ギュンター】
 └ハーフ、ヨザックの幼馴染
 デフォルト名:シャルロッテ・ティンダーリア
 愛称:シャール

【逆転裁判】
 └成歩堂・御剣・矢張の幼馴染で刑事
 デフォルト名:筒深稔莉(つつみ みのり)

アーカイブ

リンク

管理画面
新規投稿

お題配布サイト様


Natural Beautiful
└「何気なく100のお題」
A La Carte
└「ふしぎな言葉でいくつかのお題」
追憶の苑
└「詩的20のお題」
└「始まりの35のお題」
リライト
└「気になる言葉で七の小噺」
└「君と過ごす一年で十二題」
Ewig wiederkehren
└「恋に関する5のお題」
Dream of Butterfly
└「失われる10のお題」