TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。
[
2]
[
3]
[
4]
[
5]
[
6]
[
7]
[
8]
[
9]
[
10]
[
11]
[
12]
×[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
~移り往く季節を君と~
肌を刺す様な寒さに、張り付いていた瞼を持ち上げた。
隣を見れば、あどけない寝顔で眠り続ける夫君。珍しく朔夜が先に目覚めたらしい。
彼を起こさないように気を使いながら、そっと寝具から抜けだし、夜着のまま広縁に足を踏み入れる。突き刺されるような寒さにおそわれるが、しっかりと目が覚めた。
薄闇に包まれた常夜の空気をそっと吸い込む。
空の端に曙光が滲み始める。
日の出だ。寒さにかじかむ手を合わせ、息を吹きかけ擦っているとふわりと温かいものに包まれた。
「我が妃は初秋から風邪を召されたいのかな?」
肩に顎を乗せ、朔夜を抱き込み自分ごと被る布にくるむのは先ほどまで寝ていると思っていたアシュヴィンだった。
「ごめんなさい。起こしてしまった?」
「……まあ、な。だが、日の出か。たまには早起きもいいもんだな」
悪戯に朔夜の頬に口付けると朔夜を抱え直した。そのまま頭の上に顎を乗せられる。二人の身長差ではそのままの体勢ではアシュヴィンが疲れるために、定番の格好だった。
「冷えてるではないか。もう秋なんだ。きちんと上着を羽織ってからにしろ」
「忘れてたの」
「ならば次からは忘れないようにしてもらいたいな」
アシュヴィンが喋る度に振動が頭から伝わってきて、どうにも笑いがこみ上げてくる。
そうこうじゃれている間に、薄暗い青空に曙光が広がり、空の端に日輪が顔を覗かせていた。
「……やはり豊葦原の風景は美しいな」
「………」
広がりゆく日の出の光をじっと見続ける妻の髪をさらりと撫でつけ額に口付ける。静かに伏せられた瞳の奥は見えない。
いくら、愛情を注ぎ注ぎ合おうと、二人の大前提にある事実が深入りを拒む。そこを乗り越えたいと、望みながらもまだこの妻の思いを尊重したいと悩む自分にアシュヴィンは笑った。
「さて、我が妃の気は済んだかね?」
「ええ。っわ!?」
頷くのを見届けずに己よりも小さな体を抱き上げる。薄い夜着越しに伝わる体温は冷えきっている。
突然のことに驚き身を竦ませる妻の腕を首に回させ、そのまま共に寝具に入り込む。勿論抜け出そうとする体には腕を巻き付けて阻止する。
「二度寝するぞ」
「えっ! でも」
「どうせリブが起こしにくるだろう。それまでつきあって貰うぞ」
胸に抱き込めば、おとなしくなる額にそっと口づけを落とし、掻き抱いて目を閉じた。
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
新婚バカップルでした。
[1回]
PR
~虹の向こうに~
姉や幼なじみ達と濁流に呑まれてから綾音の日常は変わった。
ただの遊技の延長線だった弓を片手に、人の理から外れた存在を滅する日々。
怨霊、と呼ばれるかつては人や動物、植物。白龍のいう五行の上に生きていた其れ等が浄化という名の消滅を遂げると、誰もが浄化をした神子……姉に感謝していた。
譲は、それが正しいことだと、当たり前のことなのだと認識したらしい。
けれど、綾音が抱いたのは違うものだった。
「怨霊って、その……亡くなった時にこの世に未練が少し残っていて、陰の気? に引きずられて、異形になってしまった人や動物達だと思っていたんですけど、違ったんでしょうか……」
少しの未練で、自らの意志も曲げられて望まぬ姿に変えられてしまった哀しい存在。
だから、強制的に浄化させられても最期は安らかに眠るように消えていくのではないだろうか。
そんな疑問を投げかけられた敦盛は驚いたようだったが、すぐに優しい微笑を浮かべると小さく頷いた。
京や他の町で抱かれている一般的な怨霊の話はそうだろう。他の者が聞いたら、同じことなだけだと一蹴されるだろう。だが、自らがその身である敦盛は違った。
「やはり、あなたは優しい方だ。……怨霊は哀しい存在。故に心の底で神子の浄化を願う」
「……敦盛さんも?」
寂しげに見上げられた敦盛は言葉に詰まると、綾音から目線をそらした。
目の前に立つ公達は、人の理から外れてしまった哀しい存在。その手に触れても温もりは与えられず、ただ冷えきっている。
「…私は今は神子の八葉。この責が終われば、私は理に戻らなければならない」
「……うん」
「だが……」
冷たさを伴うだけだからと、自らは握らない綾音の手を掬い取ると、敦盛はそっと自らの額に当てて目を閉じた。
「それまでは貴女と共にいることが許されるならば、私は貴女の傍にいたいと思う」
「っうん。私も敦盛さんといたい」
優しく笑い合う二人を曼珠沙華が見ていた。
*
「そこは、姫君の繊手に口づけを贈るところだろ」
「いやぁ、お二人とも初々しいですねぇ。僕も若い頃は」
「お前は初々しさなどなかっただろう」
「そうだぜ。あんたが初々しい時なんて赤子の時だけだろうさ」
「綾音は敦盛君が大好きだよね」
「……多分、お互いに自分の感情には気づいてないと思いますよ」
「えー?そうかなぁ…」
「綾音もついに、そういう年頃になったんだなぁ」
「将臣君」「兄さん」
「あ?」
「「年寄り臭い」」
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
出歯亀隊です。
[0回]
~移り往く季節を君と~
君がいなければ。もう、一人ではいられない。
日差しが熱く茹だるような暑さが消え去ると、若干肌寒さを誘う風が紅葉と共に秋を運んできた。
この時期になると収穫を迎えた集落のあちこちで豊作を祝う祭りが行われる。
黄金色に踊る稲穂や、化粧を施した木々や草原。その中で踊り舞う、少女達。
共に豊作を喜びたくて舞に紛れる度に必ず見つけてくる同い年の生真面目な融通の効かない剣士。
今、彼は何をしているだろうか。
おそらく二度と会うことはないであろう彼の名前を胸中で呟くと、朔夜はそっと湖に足を浸した。
真夏と違い気温も低くなった今の時期に水に身体の部位を浸すなど禊ぎ以来だとぼんやりと思いながら、そのまま足を動かして水面に波紋を作る。
波紋が湖の中心までたどり着くのを見ると、その傍に新たな波紋が生まれていることに気づき視界をあげる。
「で、我が妃は夫を放り投げて一人で逃避か?」
残念そうな声音とは別に楽しそうな笑みを浮かべながら、湖の上に夫が立っていた。
否、水面黒き麒麟が降り立ち、その上に腰掛けていた。
慌てて立ち上がろうと腰を上げると湖につけていた足を湖底の泥濘に取られ身体の均衡を崩した。
「っ馬鹿!!」
この時期ならばずぶ濡れになっても風邪はひかないだろうかとどうでもいいことが脳裏によぎる。が、いつまでたっても予想できうる水飛沫は立ち上がらなかった。
暫くぼんやりとしていたが、頭上から呆れたような気の抜けた声がして、同時に自分が抱きかかえられていることにようやく気づいた。
「全く、俺の寿命を縮める気か。久々に焦ったぞ」
「ご、ごめんなさい…」
「それなら別の言葉の方が嬉しいな」
黒麒麟から身体を乗り出すように朔夜をかかえているアシュヴィンからそっと離れて、黒麒麟に額をつける。
身体に染み渡るように不思議な響きが朔夜を満たす。
「ありがとう」
「……おい、俺には何もないのか?」
「まずはこの子にお礼を言わなければと思って」
そっと湖から足を引き抜き、草地に置いた布で足を拭うと履き物に足を通す。
アシュヴィンは黒麒麟から降りて同じく地面に降り立ち朔夜に肩を貸していた。
「ありがとうアシュ。でも、何故ここに?」
確か黒雷様は午後から国境まで視察の予定が入っていた筈だ。そしてその視察に朔夜はついて行かなくてもよいと義兄に言われていたのでそれならばと勝手に散歩に繰り出していたのだが。
「それはサティが勝手に決めただけだろう。俺がお前を連れて行かない訳ないだろうが」
むくれたように腕を組んで見下ろしてくるアシュヴィンと視線を合わせると、朔夜は思わず笑う。
今頃、臣下達で必死にこの第二皇子を捜しているのだろう。このまま城に戻れば義兄からこってり絞られることは間違いない(アシュヴィンが)。
「ほら、帰るぞ」
「ええ……」
ふと耳が風のざわめきを拾う。そのざわめきは、何故だろう郷愁を朔夜の胸に運んだ。
アシュヴィンに手を引かれ、黒麒麟の誘導の元その背に横向きに乗せられ、後ろに跨った夫の腕が支えるように腰へと回る。
一言、飛翔することを告げられると、地面から離れ風となる。
「さっきは、何を考えていたんだ?」
「え?」
突然の言葉に夫を見るが、逞しい胸板しか見えず、顔を見上げてもそっぽを向かれ、表情が見えなかった。
拗ねているような動作に心当たりのない朔夜は首を傾げながら、先ほどの自分をゆっくりと思い起こした。
「さっき…というと?」
「寂しそうにしていただろう? お前のことだ視察において行かれることに寂しさを感じていたわけではあるまい」
寂しそう。寂しいと思っただろうか。
もう参加する事が叶わない民草の祭り事。もう見(まみ)えることはないだろう幼なじみのような彼。
このすべてを思い起こさせたのは。
「秋が、哀愁を誘ったのよ」
そっと瞳を閉じて、懐かしい光景に身を委ねる。
明らかに色々な言葉をひとまとめにした妻を見下ろして、アシュヴィンは困ったように笑い、深く息を吐いた。
深く胸に巣くっているだろう色々な感情をなかなか吐露しないこの妻をどのように白状させようか。いつもそればかり思うというのに、いざそれを目の当たりにするとその考えが挫けてしまうのは、入れ込んでいる証拠か。
「まあいい。さっさと戻って二人揃ってサティに説教されるとするか」
「えっ私も?」
「当たり前だろう。そもそもお前が俺に黙って散歩に行くから悪いんだ」
「(そんなむちゃくちゃな)」
「何か言ったか?」
「なんにも」
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
うちの中で1、2を争うバカップル(?)です。
最近お題に添えていない気がビシバシします。
[1回]
※『虹の向こうに』の設定です。
デフォルト名:春日綾音(かすが あやね)
冷たい空気によって頬に小さく痛みが走る。
何でもない振りをするには少し痛いそれに対して、同じように冷えた手のひらで頬を包み込む。
一瞬ヒヤリとした冷たさに襲われるも、徐々に肌同士の接触によりぬくもりが生まれる。
「綾音殿、こちらの方が風が当たらない」
寒空の下で星月夜を見上げる綾音に、低く落ち着いた声がかけられた。
声の主がすぐにわかった綾音はすぐさま振り返り、大きな笑顔を浮かべた。
「敦盛さんもこっちにこない?」
「……私がそちらに行ったら貴女はこちらに来てくれるだろうか」
「うん」
二つ返事につられたのか、霜の降りた地面を踏みわけて同じ星空の下に敦盛が姿を表した。
好きな空を敦盛と眺められることが嬉しいのか、綾音は喜びを隠さずに冷えた手を差し出した。けれど敦盛はそっと首を振った。
「…私が触れると貴女がよけいに冷えてしまうから」
「関係ないよ」
もう一度力強く差し出すが、やはり敦盛は手を出さない。それをじれったく思ったのか綾音は問答無用とばかりに敦盛の右手を握り、引いた。
「今日は特に寒いから星が綺麗だね」
「そうだな……」
「あんな風に光る物が手元にあれば毎晩便利なのにね」
懐中電灯などを思い浮かべながら呟いた綾音の言葉に敦盛がクスリと笑う。
何か面白いことを言っただろうかと首を傾げる綾音に笑いを納めた敦盛は笑みを浮かべて言った。
「よく将臣殿が申されていた。星は勝手に燃えているから燃料はいらなくて経済的だと」
「…マサ君と同じ発想ってイヤだなぁ」
一般常識と少しずれたことを面白がって行動する幼なじみの笑い顔を思い浮かべ綾音はいやそうな顔をする。けれどその中にも優しげな色を見つけた敦盛もつられ、優しく笑う。
「こちらの世界にも綾音殿の世界にも、同じ星があるとお聞きした」
「うん。同じ星座もあるし、やっぱり北極星はあるみたい」
空を見上げ、見覚えのある星座を指でなぞる。
「……もし、」
「もし?」
もし、私も貴女と同じ……。
「…いや……。そろそろ風が冷たくなってきた。戻らないか」
「うーん、でも……クシュ!!」
「身体も冷えきってしまう前に」
そう言って笑い、自分の打ち掛けを綾音に被せると淡く微笑み、打ち掛けを押さえていない方の綾音の手を取ると、先ほど呼び寄せようとした場所へと誘う。
先ほどは渋られたことを率先してされ、そして滅多に見られない微笑を目の前で目撃した綾音は驚きに固まったまま敦盛の先導に従った。
もし、私も貴女と同じ世界に行けたなら。輝きは変わらない貴女の光をたどって必ず逢えるのに。
けれど、紛い物のこの身体ではそう願うことすら罪だろう。
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
あっつんが好きです。
敦盛→←綾音ちっくに。
遙か3は→←の組み合わせが好きです。明烏も実は→←の設定……あまり生かされていませんが。
[0回]
アシュヴィン夢設定
デフォルト名:朔夜(さくや)
紅月(くれないづき)が浮かぶ短夜は、懐かしい思い出が詰まっているから。
そう寂しげな笑みと共に零した、己が妻の言葉を思い出しアシュヴィンは紅月を見上げた。
闇に呑まれた常世を表すような薄暗い星月夜に、乾いた風が枯れた草木を揺らす。
初めて一年を常世で過ごした彼女は、こうしたささやかな自然の息吹を敏感に感じ取り「常世はまだ余地はある」と柔らかに笑っていた。
ただ無為に流れていた月日に彼女は温もりと薫りを与えてくれた。小さな息吹にも喜び、小さな仕合わせを大きな仕合わせに。
「フ。ただの興味だったというのにな」
最初はただの興味だった。
自らを捨て民草のために最後まで立ち振る舞ったという傍系の姫。前々から火雷やムドガラから話には聞いていた。
どんな娘なのかと。
そして、恐怖を押し隠し、気丈に前を見据える姿に興味を覚え、同時に目を奪われた。
強く光の灯っていた瞳から、力が奪われていく瞬間に。
勿体無いとも思い、気づけば体が勝手に動き、その娘を妃にすると言っていた。
驚きに見開かれる瞳を見て、改めてその瞳の美しさに気づき、そして。
「アシュヴィン?」
軽やかな声がアシュヴィンの背中にかけられた。振り向かずとも分かる声の主。
先ほどまで思い描いていた声だけに、アシュヴィンはゆっくりと口角が上がるのを止められなかった。
「アシュでいい。どうした、朔夜」
「いいえ、ただ…」
「ただ、何だ。言ってみろ」
「風邪ひくわよ」
少し呆れたような声音に、ゆっくりと振り返り自分よりも小さな繊手をとる。
この手のひらで、彼女はいくつもの幸いをすくい上げる。破壊しかもたらさない自分の手のひらとは違う。
「おまえの手は小さいな」
「うるさいわね。貴方より背が低いのだから当たり前でしょう?」
「……だが、俺のこの手のひらよりも多くのモノをすくい上げる」
「アシュヴィン?」
幾ばくか低くなった夫の声音に疑問を覚えたのか、少し気遣わしげな妻の声に我に返ったアシュヴィンは「何でもない」と呟いた。
「冷えてきたな。我が妃が風邪を召される前に戻る」
「ねぇ、アシュ。知っているかしら」
何度呼べと言っても呼ばなかった愛称が妻の口から聞こえ、アシュヴィンは思わず言葉を切ってその顔を凝視した。
アシュヴィンの手をそっと両手で包み込み、まるで祝詞でも唱えるかのように全てを包容する笑みを浮かべる
「王の手はね、すくい上げなければいけないものが多すぎるから本当に大切なものは少ししか手のひらに残せないの」
膨大な量の砂や水を手のひらですくい上げるようにそれはとても難しいことで。
「だから、王のすくい上げられない大切なものは、王を支える人がすくい上げればいいのよ」
「それを朔夜、おまえがしてくれると?」
「私だけじゃないわ。シャニやサティもよ。だから、アシュは国にとって大切なものをすくい上げていて」
そう。興味で娶ったこの姫は、ゆっくりとアシュヴィンの心に浸食していった。
生き物が水を必要とするように、このたった一年で朔夜はアシュヴィンにとってなくてはならない存在にまでなっていた。
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
彩雲国でふと思ったこと。劉輝が手のひらで支えられないものは周りが支えてあげればいいじゃん!!現実問題そんな簡単なことではないとわかっているけれどそうおもわずにはいられなかった。
[0回]